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『プラダを着た悪魔2』感想|“辞める”から“変える”へ、20年で変わった女性の働き方

2026 6/30
スタッフブログ
2026年6月30日
夜のマンハッタンを歩く女性のシルエットと、雑誌のページがデジタルの光へと変わっていく様子

こんにちは。株式会社TechXで取締役・広報を担当しております中川瑞穂です。先日、公開されたばかりの映画『プラダを着た悪魔2』を観てきました。前作から約20年。当時憧れて観た作品の続編ということで、正直「思い出を壊されたくないな」という不安半分で映画館に入ったのですが、観終わってみると、女性の働き方について思っていた以上に考えさせられる内容でした。今日はその話を、ネタバレを少し含みながら書かせてください。

目次

「辞めて出ていった」アンディが、今度は「留まる」を選んだ

前作のラスト、アン・ハサウェイ演じるアンディは、鳴り続ける携帯電話を噴水に投げ捨ててミランダのもとを去りました。あの「立ち去る」シーンは、当時の私にとって痛快な“卒業”の象徴でした。理不尽な環境からは抜け出していい、自分の人生は自分で選んでいい——そういうメッセージとして受け取っていたんだと思います。

ところが続編のアンディは、ジャーナリストとして成功していたにもかかわらず、所属するニュースルームが丸ごとリストラされ、巡り巡って古巣『ランウェイ』に特集エディターとして戻ってきます。そして今度は、辞めずに留まって、内側から変えることを選ぶんです。

20年前の「逃げる(=辞める)強さ」と、今作の「留まる強さ」。同じ女性が、年齢とキャリアを重ねて選び方を変えていく。ここがすごくリアルでした。若い頃は「合わなければ辞める」が一番の武器になるけれど、ある程度の経験を積むと、辞めるよりも「この組織のここを変える」ほうがよほど難しくて、よほど勇気がいる。映画はそれを、説教くさくなく、ただ淡々とアンディの選択として見せてきます。

授賞式の最中にテキスト一通で全員解雇——他人事に見えなかった

個人的にいちばん刺さったのは、アンディたちの編集部が、華やかな授賞式のまっただ中に一斉メッセージ(テキスト)で「解雇」を通知される場面でした。スマホがいっせいに震えて、みんなが画面を見て凍りつく。あまりに現代的で、笑えないリアリティがありました。

作中では「もう誰も『ランウェイ』の紙の本なんて読まない」「生き残るためにクリックベイトと短尺コンテンツに頼っている」というセリフが出てきます。紙からデジタルへ、雑誌という産業そのものが足元から崩れていく。これって、Webやデジタルの世界に身を置く私たちにとっても、まったく他人事ではないんですよね。

「女性の働き方」というと、産休・育休や時短、ライフイベントとの両立の話になりがちです。でもこの映画が突きつけてくるのはもっと手前の問題で、そもそも自分の業界・職種が明日も存在しているのかという不安です。これは性別に関係なく全員に降りかかるけれど、キャリアが分断されやすい女性ほど、変化への適応力が「働き続けられるか」を左右する。そう感じました。

“悪魔”ミランダが通用しなくなった時代

メリル・ストリープ演じるミランダの描かれ方も、20年の変化を象徴していました。前作では絶対的な権力者として君臨し、その理不尽さこそが“悪魔”の魅力でした。けれど今作のミランダは70代。スポンサー離れと部数減に追われ、かつてのトップダウンなやり方はHR(人事)からクレームが入り、権限すら制限される立場になっています。

恐怖で人を動かすマネジメントが、もう正解ではなくなった。これは時代の変化そのものです。印象的なのは、ミランダがアンディに対し、最終的には「私の悪い面も含めて、正直に書きなさい」と背中を押すこと。かつて誰もが恐れた彼女が、最後はアンディに筆を委ね、自分を語る役目を次の世代に手渡す。その姿に、長くキャリアを積んだ人ほど問われる「握りしめてきたものを手放す勇気」を見た気がしました。支配する上司から、次の世代に道をつなぐ存在へ——変わり続けられることもまた、ひとつの実力なのだと思います。

ライバルだった女性同士が、連帯に変わる

もう一つ良かったのが、エミリー・ブラント演じるエミリーとアンディの関係です。エミリーはディオールの幹部に上り詰め、一時は古巣のスキャンダル(スウェットショップ問題)すら自分の売名に利用するほどのやり手になっています。けれど買収をめぐる立ち回りに失敗して職を失い、やがてコーチで再起する。そして終盤、アンディとのランチで過去を謝り、かつての“敵”が和解するんです。

前作はどちらかというと女性同士の競争・足の引っ張り合いが物語のスパイスでした。それが続編では、競い合うより手を組むほうへと舵を切っている。ラストシーンが1988年の映画『ワーキング・ガール』へのオマージュになっているのも象徴的で、監督が「(沈む)タイタニックから離れたいかだには、まだ乗れるスペースがある」と語っていたのが印象に残りました。不安定な時代だからこそ、女性同士で椅子を奪い合うのではなく、いかだに乗せ合う。そのメッセージが、説教ではなく物語として腑に落ちました。

Web制作・AI支援の現場で働く私たちにとって

観終わって、これは雑誌業界の話であると同時に、私たちの話だと思いました。TechXはWeb制作やAI活用支援を仕事にしていますが、まさに技術の移り変わりが激しい業界です。昨日まで当たり前だった作り方が、生成AIの登場で一年もしないうちに変わってしまう。アンディたちが直面した「紙からデジタルへ」の波を、私たちは「人力からAIへ」という形で、今まさに体験しているのだと思います。

そんな中でこの映画が教えてくれた女性の——いえ、すべての働く人の——身の処し方は、たぶん三つです。合わなければ辞めるだけでなく留まって変える選択肢を持つこと、肩書きや過去のやり方に固執せず変化に適応し続けること、そして競争相手だと思っていた相手とも手を組めること。どれも、AIに置き換えられない人間の強さだなと、帰り道に考えていました。

『プラダを着た悪魔2』、ファッションやキャリアに興味がある方はもちろん、変化の渦中で働くすべての方におすすめです。観た方は、ぜひ感想を聞かせてください。

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アン・ハサウェイ キャリア プラダを着た悪魔2 メリル・ストリープ 働き方 女性の働き方 映画感想
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