BCP策定が「後回し」になっていませんか?
地震、台風、感染症——。事業を脅かすリスクは年々多様化しています。しかし、帝国データバンクが2024年に実施した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」によると、BCPを「策定している」と回答した企業は全体の19.8%にとどまりました。とりわけ中小企業では策定率がさらに低く、多くの企業が具体的な備えを持たないまま事業を続けている状況です。
本記事では、BCP策定の基本と進め方を整理し、廃棄物処理業・建設業・不動産業などレガシー業界の経営者・管理職の方に向けて、実践的なステップをご紹介します。
なぜ今、BCP策定の基本と進め方が注目されるのか
災害リスクの高まりと法制度の変化
近年、大規模地震や豪雨災害が頻発しています。内閣府が公表する「事業継続ガイドライン(第三版)」でも、企業規模を問わずBCP策定の重要性が強調されています。また、建設業では公共工事の入札加点項目にBCP策定が含まれるケースが増えており、経営面でも無視できない要素となっています。
取引先からの要請
大手企業がサプライチェーン全体のリスク管理を強化する中、下請け・協力会社に対して「BCPはありますか?」と確認されるケースが増えています。BCP策定支援への関心が高まっている背景には、こうした取引継続の観点もあるのです。
具体的な活用事例と効果
廃棄物処理業の例
ある廃棄物処理事業者では、災害時の収集運搬ルートの代替計画と、処理施設の優先復旧順位をBCPに明記しました。中小企業庁が公開する「中小企業BCP策定運用指針」に沿って進めたことで、自治体との災害協定締結にもつながっています。
建設業の例
建設業では、国土交通省が推進する「建設業BCP」の枠組みを活用し、重機・資材の確保手順や従業員の安否確認体制を整備する企業が増えています。BCP策定済みの企業は、災害復旧工事の優先受注で競合との差別化にも成功しています。
導入時の注意点・よくある失敗
①「作って終わり」になる
BCPは策定だけでは意味がありません。内閣府の事業継続ガイドラインでも、定期的な訓練と見直しの重要性が繰り返し指摘されています。年に一度は内容を更新し、実際に模擬訓練を行うことが大切です。
②完璧を目指しすぎる
最初からすべてのリスクを網羅しようとすると、策定作業が止まります。まずは自社にとって最も影響の大きいリスク(地震、水害など)に絞って着手するのが現実的です。
③現場の声が反映されていない
経営層だけで作成したBCPは、実際の災害時に機能しないことがあります。現場担当者を巻き込んだ策定プロセスが不可欠です。
中小企業が始めるための5つのステップ
- 優先業務の特定:自社の中核事業を洗い出し、止まると最もダメージが大きい業務を明確にします。
- リスクの想定:地震・水害・感染症など、自社の立地や業態に合わせたリスクを選定します。
- 目標復旧時間の設定:中核業務をどれくらいの期間で再開するか、具体的な目標を決めます。
- 対応手順の文書化:連絡体制、代替手段、備蓄品リストなどを、誰が見てもわかる形で整理します。
- 訓練と見直し:策定後は定期的な訓練を実施し、課題をもとにBCPを改善していきます。
中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、これらのステップに沿ったテンプレートが無料で公開されています。まずはこの指針を参考にするのがおすすめです。
まとめ
BCP策定は、企業の規模に関係なく、事業を守るための重要な取り組みです。完璧を目指す必要はありません。まずは基本を押さえ、小さく始めて継続的に改善していくことが成功の鍵です。
TechXでは、廃棄物処理業・建設業・不動産業など、レガシー業界に特化したBCP策定支援を行っています。「何から始めればいいかわからない」という段階からでもサポート可能です。お気軽にお問い合わせください。

